「ここ座って」


広瀬先生はカルテを見ながら
杏に冷たく言った。


下を向いたまま、先生の言う通りイスに座る。


2人とも黙ったまま、
静まり返った診察室に時計の音だけが響いている。


どれくらい経っただろうか。
顔を上げると、先生の厳しい眼差しがあった。