「セリーンがそんなふうに言っちゃう時点で俺にとっちゃ似たようなもんなんだってー。うわーショックだー」

 またしてもがっくりと背もたれに仰向けになったアルさんに見兼ねて私は小声でフォローする。

「大丈夫ですよ。ドゥルスさんて言うんですがアルさんくらいの歳の子供が二人いるような人ですし」
「そうなのか? ……いや、でも恋愛に歳は関係ないし」
「や、本当に大丈夫だと……。あ、明日ドゥルスさんお城に来るって言ってたので会えばわかりますよきっと」
「来るって!? なんで!」
「あ、騎士なんだそうです。クラヴィスさんの上司でもあるみたいで、それで色々教えてくれて」
「わーセリーン好きそー! 会いたくねぇー!」

 ついには顔を覆ってしまったアルさん。
 フォローのつもりが追い打ちをかけてしまったようだ。

「ダメだぁ~。これ完全にティコ不足だ~。誰か俺にティコを……早くティコを俺にくれぇ~」
「あ、ティコラトールでしたっけ。ティコの飲み物。楽しみですね!」

 笑顔で言うも、あぁ~というなんとも気の抜けた声が返ってくるだけで、そんな彼をラグが心底呆れたような目で見ていた。 

 ……なんだか私も甘いものが欲しくなってきた。

(ティコラトールかぁ。きっとココアみたいな、甘くて美味しい飲み物なんだろうなぁ)

 想像したら生唾が出てきてしまい慌てて呑み込む。

「私は料理が楽しみだ。宮廷料理だぞ。期待せざるを得んな」

 珍しくワクワクしている様子のセリーン。
 確かに宮廷料理と聞くと豪勢な料理がテーブルいっぱいに並ぶイメージだ。

「うん、私も楽しみになってきた!」

 と、盛大なため息。アルさんではなく、今度はラグだ。