と、そこでハっと思い出す。

「そうだ。アルさんに言わなきゃいけないことがあるんです!」
「ほえ?」

 首だけ起こしたアルさんに駆け寄ろうとして、私は念のため開けたばかりの窓をそっと閉めた。 

 ――王子たちがいない今がチャンスだ。

 アルさんの隣に腰かけ、私は声を潜めて話し始める。

「どうやら、さっきのプラーヌスって人が例の暗殺者を送り込んだ張本人らしいんです」
「あー。なんかそんな感じだったな」
「え?」
「いや、あの王子の態度見てりゃーなぁ」

 アルさんは溜め息交じりにもう一度背もたれに寄りかかった。

「ハハ、ですよね……。それともう一つ、これは多分誤解だと思うんですが……」

 そう前置きしてから、私はクラヴィスさんのことを話した。
 するとアルさんもそれには驚いたようで。 

「クラヴィスが? ……そっか。ま、カノンちゃんの言う通り誤解だとは思うけど、わかった。一応頭に入れとくわ」

 そう言ってくれてホっとする。

「でもこんな情報誰から……って、あぁー!」

 急に大きな声を上げアルさんはガバっと起き上がった。

「ひょっとしてあれか!? 例のセリーンの昔の男!」
「誰が昔の男と言った。昔世話になった男だ」

 剣呑な目つきで訂正するセリーン。