と、そんな私にアルさんが小声で言う。
「カノンちゃん、あいつのことよろしくな」
「はい、わかっています。……また、会えますよね」
私が言うとアルさんは満面の笑みで頷いてくれた。
一旦、さよなら。――それなら、そんなに寂しくはない。
私も皆にぺこりと頭を下げて馬車へと乗り込んだ。
中は向かい合わせの4人席となっていて、私はセリーンの隣に座った。
御者のおじさんが扉を閉めてくれて私は窓から顔を覗かせる。
すると爽やか笑顔のクラヴィスさんと目が合った。
「本当にお世話になりました。皆さんとの旅、とても楽しかったですよ」
「私もです」
「お蔭で殿下も、これほどまでに、見違えるほどに成長いたしました」
「おい、失礼が過ぎるぞお前」
「え? どこがですか。こんなにお褒めしているというのに」
「お前……今の自分の立場をわかっているか? デイヴィスが残ってくれたんだ。お前護衛を外されるかもしれないんだぞ?」
「え、そんなの聞いていませんよ。アルディートさんやっぱり残るのやめにしません?」
「ええぇ?」
そんな3人のやりとりを見てつい笑ってしまう。
すると王子もふっと笑ってこちらを見た。
「皆、元気でな。いつかまた会おう」
その自信にあふれた表情を見て、私は言う。
「ドナを、私の友達をよろしくお願いします」
「!」
その瞳が大きくなって、それからツェリウス王子は「あぁ」と力強く頷いてくれた。



