王子たちは城門まで見送ってくれるといい、私たちは共に宮殿を出た。
庭園を歩きながらもう少しこの綺麗な場所に居たかったなと思っていると。
「カノン!」
「え?」
大きな呼び声に私は振り向いた。
宮殿の方から駆けてくるのはデュックス王子だ。私は顔が強張るのを感じた。
王子ははぁはぁと息を切らしながら、私の元まで来て必死な顏で言った。
「出立すると聞いたのだが、嘘、だよな?」
「あ、……その」
先ほどは肖像画のことですっかりうやむやになってしまって結局ちゃんとお返事出来ていない。
ツェリウス王子も思い出した様子であーと小さく声を上げている。
ここはしっかり謝らなければと私は頭を下げた。
「すみません!」
すると王子は開けた口をそのままにがくりと頭を垂れた。
「本当にすみません……折角誘って頂いたのに」
「……本当に、行ってしまうのか?」
「はい」
「デュックス。無理を言うんじゃない。彼らには彼らの目的があるんだ」
そうツェリウス王子が間に入ってくれた。
「兄さま……わかっています。カノン、また会えるか……?」
「えっと……」
はいと答えてしまうのは簡単だ。でも、言えなかった。
するとデュックス王子は急に私の前に片膝をついて、こちらを見上げた。
「また会えたら、その時こそは僕の誘いを受けて欲しい」
そして私の手を取った。
え? そう疑問に思うと同時、ちゅっと手の甲にデュックス王子の唇が押し当てられて目を見開く。
「待っている」
「~~っ」
手が、いや全身が熱くて私が何も言えずに口をパクパクとさせていると、背後からセリーンの「やるな弟」という感心したような声とラグの舌打ちが聞こえた。



