王子はそれを見て楽しそうに笑い、それからもう一度私たち全員を見回した。
「本当にお前たちと出会えて良かった。お蔭で視野が広がった気がする」
「視野が、ですか」
「あぁ。術士のこともそうだが、今朝休みをとりながら考えていたんだ。僕はずっとこの呪いが疎ましかった。伝説の王女もな」
胸元から笛を取り出し、それを優しげな瞳で見つめながら話した。
「だが、少し考えを変えてみた」
「考えを?」
アルさんの問いに王子は頷き続けた。
「……王女は、僕たち子孫にただ愛し合って欲しかっただけかもしれないとな」
「え?」
私は思わず声を上げていた。
「自分たちが幸せになれなかった分、愛した者とずっと離れず共にいられるよう、そんな思いを込めたまじないを掛けたのかもしれないと」
驚いた。
そんな考え方もあるのかという驚きと、ツェリウス王子自身がそれを考えたのだということに。
皆も私と同じように唖然とした顏をしていて、それに気付いた王子が照れたように咳払いした。
「まぁ、はた迷惑なことに変わりはないがな。そう、思えるようになった」
そして王子は笛をまた大事そうに胸元に仕舞った。
私はなんだか胸が熱くなってきて、大きく頷いた。
「私も、そう思います!」
王女の呪いと考えるよりも、王女の願いのこもった“まじない”と考えたほうがずっといい。
すると王子はとても満足げに笑ってくれた。



