わかってる。 十分にわかっているのだ。でも、涙が止まってくれない。 私がぶんぶんと何度も頷いているとその頭にぽんっと大きな手が乗った。 ぼやけた視界の中に、こちらを覗き込むアルさんの優しい顔があった。 彼が囁くような小さな声で言う。 「ラグを頼んだぜ。カノンちゃん」 私は目を見開く。 にっこりと笑うアルさん。 昨夜彼の口から語られたラグの過去を思い出して。 私はごしごしと涙を拭って顔を上げ、アルさんの顔をまっすぐに見返した。 「はい!」