My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 4



 先ほど想像したような“白衣”はあるはずもなく、医者だと言ってもおかしくない白地でシンプルな服を4着手に入れた私たち。

「涼しそうな服があってよかったね!」
「あぁ」

 そんな話をしながら店から出たときだ。

「――っ!」

 私はある“音”に気が付き、足を止めた。

「どうした?」

 セリーンの声に、来た道を戻りかけていたラグがこちらを振り返る。
 露店がずっと続く通りの向こう。

「太鼓の音がする」
「タイコ?」

 トントコトコトン……トコトコトン。

 そんな規則正しいリズムで聞こえてくる小気味良い音。
 吸い込まれるようにして私はそちらに足を向けていた。

「おい」

 ラグのイラついた声が掛かるが、止まれない。

 進んでいくと更に別の音が聞えてきた。
 シャカシャカという音。これは――。

(マラカス?)

 太鼓にマラカス。更には手拍子まで耳に入ってきて。
 聞こえてくるそれは、間違いなく“音楽”だ。