先ほど想像したような“白衣”はあるはずもなく、医者だと言ってもおかしくない白地でシンプルな服を4着手に入れた私たち。
「涼しそうな服があってよかったね!」
「あぁ」
そんな話をしながら店から出たときだ。
「――っ!」
私はある“音”に気が付き、足を止めた。
「どうした?」
セリーンの声に、来た道を戻りかけていたラグがこちらを振り返る。
露店がずっと続く通りの向こう。
「太鼓の音がする」
「タイコ?」
トントコトコトン……トコトコトン。
そんな規則正しいリズムで聞こえてくる小気味良い音。
吸い込まれるようにして私はそちらに足を向けていた。
「おい」
ラグのイラついた声が掛かるが、止まれない。
進んでいくと更に別の音が聞えてきた。
シャカシャカという音。これは――。
(マラカス?)
太鼓にマラカス。更には手拍子まで耳に入ってきて。
聞こえてくるそれは、間違いなく“音楽”だ。



