その数十分後、私たちは城下街であるヴァロールに辿り着いた。この街からこの王国は栄えていったのだという。
街中はかなり埃っぽく、なんとなく視界が霞んで見えた。そしてとにかく暑かった。
街に近づくにつれて緑が消え温度がどんどん上昇していくのがわかったけれど、すでに服の下は汗でびっしょり。早く新しい服に着替えたかった。
ふと今降りてきた丘を見上げると、緑の中に宮殿で一番高い塔が飛び出て見えた。
何年か前にセリーンもこうしてあの白い塔を見上げたのだと思うと、なんだか不思議な感じがした。
(私はその頃日本でのほほんと生活してたんだよね)
「おい、余所見してんじゃねーよ。はぐれるぞ」
「う、うん」
私は慌てて前に向き直る。
確かに通りはかなりの人で混雑していて、気を抜けばすぐに彼の背中を見失ってしまいそうだ。
この街の人は赤と白を基調にした民族衣装に身を包んでいて、特に女性の服には複雑な模様が施されとても目に鮮やかだった。
それほど広くは無い通りの真ん中には朝市だろうか露店がずらっと立ち並び、美味しそうな果物や女性の服のように細かい刺繍が施された色鮮やかな布地、そして綺麗な装飾品などが並んでいた。
(っとと、だめだ、目移りしちゃう。えっと、)
今探しているのは服屋だ。
「あの店にありそうじゃないか?」
セリーンが指さした先を見ると、通りにまではみ出してたくさんの服を飾っている店があった。店内にも色々とありそうだ。
ラグもすぐさまそちらに足を向けた。



