「しかし、あの口ぶり。バレているのはまず間違いないだろうな」

 セリーンの冷静な口調に私は小さく頷く。
 ――先ほどから一人なぜだろうと考えていた。

「あのね、王子ってパケム島でラグの呪いにすぐに気付いたでしょ?」
「王子も呪いに掛けられているからなのだろう?」
「うん。でもね、」
「ならなんでオレはあいつの呪いに気づけなかったのかってんだろ?」
「そう! それ、ずっと引っかかってて」

 やはりラグも気になっていたのだ。

「だから王子は何かそういうものを見抜ける力を持っていて、それで私のこともわかっちゃったのかなって」

 でもそれはただの推測に過ぎなくて、案の定二人からの返答は無かった。
 こればかりは王子に直接訊くしかないけれど……。

「私の求めるものって……」

 舗装されていない剥き出しの地面を見つめ歩きながら独り言ちる。

(やっぱり元の世界へ帰る方法?)

 だとしたら私もお城の中に、そしてその書庫に入りたい。
 しかし王子は私が元の世界に帰りたがっていることも知っているのだろうか。
 もし、伝説の通りの銀のセイレーンだと思っているとしたら……。

 ランフォルセでのこと、更にはフィエールのことを思い出し、知らずごくりと喉が鳴っていた。