極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「ん、うまい」

 そんな彼の口元にはご飯粒が付いていて、思わず笑ってしまった。

「ふふっ、村瀬さんってば子供みたい」

「えっ?」

 気づいていない彼に向かって、自分の口元を指差した。私と同じところに触れると、ご飯粒に気づいた村瀬さんは恥ずかしそうに笑う。

「本当だ、これじゃ子供と一緒だな」

 その姿に笑ってしまったのは、言うまでもない。

「すごくお腹いっぱいで苦しいです」

 店を出たところで、ついお腹を擦ってしまう。ここに来るまでに、いろいろなものを食べたから、本当に苦しい。

「無理して食べなくてもよかったのに」

「そんなっ……! 残すなんて絶対にだめですよ。作ってくれた人に失礼じゃないですか」

 それは物心つく頃から、ずっとお父さんに言われ続けていることだった。

「それに世界中にはご飯はおろか、水さえ飲めない人だっているんです。お腹いっぱい食べられることって当たり前のようで、実は幸せなことなんですから」

 だから勤務中も食事を残す社員を見ると、なんとも言えない気持ちになる。

 その思いでつい、言ってしまったけれど……すぐに気づく。村瀬さんはただ、お腹がいっぱいだと言った私を気遣い、言ってくれたのだと。