極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「いや、さくらちゃんは写真を撮ったりしないのかなって思って……」

「写真ですか?」

 なぜ写真? と小首を傾げてしまう。だけどその意味をすぐに理解した。

 注文した女性客の大半は、しっかりと写真に収めてから食べている。一方の私は、写真など一枚も撮っていない。だから聞いてきたんだよね?

「えっと、ですね……」

 周囲にいる人に聞こえないよう、私も声を潜めた。

「私、SNSって苦手でして……。思い出の料理を写真に収めるのもいいですが、私は目で見て楽しんで、出来たてをすぐにおいしくいただきたいんです」

 写真を撮っていたら、せっかくの料理が冷めてしまうこともある。だからできるだけ運ばれてきたら、すぐに食べるのが私のモットーなのだけれど……女子力がないと思われた?

 イマドキの女性は、食べたものや出かけた場所を写真に収め、よくSNSにアップしているもの。ここは可愛く、写真に一枚だけでも収めるべきだった?

 そんなことをグルグル考えていると、村瀬さんは小声で囁いた。

「うん、俺もそう思う。おいしく食べないと意味がない」

 私と同じように「いただきます」と言いながら手を合わせ、男の人らしく豪快にご飯をかき込んだ。