極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「いや、べつに浅草じゃなくてもいいんだ。……ただ、さくらちゃんと店を回って食べ歩きとかして、普通のデートがしたいんだ。でもほら、原宿とか渋谷だと、俺みたいなおじさんは浮いちゃうだろ?」

 おじさんって……村瀬さんが?

 だけど本人は至って真面目に悩んでいて、「うーん……」と唸り出す。

「若いさくらちゃんなら全然大丈夫だけど、三十を過ぎたおじさんは無理だからさ。でも一度、服を見たりなにか食べたり、目的もなくブラブラするデートがしてみたくて。そうなると、浅草かなって」

 最後のほうはボソボソと言い、頭を掻く姿に胸がキュンとなる。

 悩む姿が失礼ながら可愛くて、私とそういうデートをしたいって思ってくれていたのが嬉しくて……胸が苦しい。

 私も村瀬さんと、学生のように目的もなくブラブラするデートをしてみたい。

 その思いは強くなり、彼の手を引いた。

「浅草デート、しましょう! 私も村瀬さんと、ゆっくりブラブラしたいです」

「さくらちゃん……」

 自分の思いを伝えると、村瀬さんは繋いだ手を強く握った。

「ありがとう。じゃあブラブラしに行こうか」

「……はい!」

 それから村瀬さんと電車に乗り、浅草へと向かった。