極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「え、ちょっとお父さん?」

「仕方ないだろ、娘にこれ以上ない嬉しい言葉を言われたんだから。泣かないほうがおかしい!」

 ゴシゴシと涙を拭い開き直るお父さんに、お母さんはクスクスと笑うばかり。

 それから三人、夜遅くまで今後のことを話し合い、順番に入浴を済ませていく。

 お風呂から出た後、喉の渇きを覚え、髪を拭きながらキッチンにいくと、お母さんが朝食の下ごしらえをしていた。

「ごめんね、お父さんとお母さんが先に入っちゃって」

「ううん、全然。だって私よりふたりのほうが朝早いし」

 冷蔵庫の中から麦茶を取り出し、コップに注いで喉を潤おす。ふぅと一息つき、コップを洗っていると、お母さんが野菜を刻みながら申し訳なさそうに言った。

「村瀬さんには、どうやって伝えようか」

「えっ? ……あっ」

 そうだ、村瀬さんは来月まで中国から帰ってこない。当然連絡先も知らないし……。

「村瀬さん、うちのお弁当の大ファンだからね。……それに出張前に来てくれたでしょ? その時のあなたたちのやり取りを見ていたから、私もお父さんも心苦しくて……」

 そこまで言いかけるとお母さんは手を止め、複雑な表情で続ける。

「店がなくなっても、あなたたちの関係が続いていくことを願っているわ」

「お母さん……」