極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

 三人で戸締まりを済ませ、二階の居住スペースへと向かう。まずは売れ残った総菜などで夕食を済ませる。

 その後はお母さんと片づけをして、その間にお父さんが三人分の珈琲を淹れてくれて……。そして三人でテレビを見ながら団らんするのが日課となっている。

 だけど今夜は違う。テレビを点けることはなく、ただ珈琲を啜るだけ。

 いったいなにがあったんだろう。そろそろ話してほしいんだけれど……私から聞いたほうがいいのかな。

 両親の顔色を窺いながらタイミングを見計らっていると、お父さんは手にしていたカップをそっとテーブルに置いた。

「単刀直入に言おう。……実はな、さくら。父さんたち、今月いっぱいで店を畳もうと思うんだ」

「畳むって……え、嘘でしょ?」

 いったいどんな話なのかと、いろいろなことを想定していたけれど、さすがに店を畳むと言われるとは予想できなかった。

 だってこのお店はふたりが苦労して始めたもの。そしてなにより、生きがいだったはず。それなのに店を畳むなんて……。

「そんなに経営が厳しいの?」

 私も手伝っているから、少しは店の状況を把握している。でも、畳むほど苦しいとは思えない。

「それともまさかどっちか、店にも立てないほど重い病気とか……?」