極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「ありがとう。……じゃあ、また二ヵ月後」

「……はい。気をつけていってきてください」

 咄嗟に出た『いってきてください』の言葉。だけどそれを聞き、村瀬さんは目を丸くさせた。

 どうしよう、馴れ馴れしかったかな? 『いってきてください』だなんて。不快に思われた?

 不安になっていると、村瀬さんは嬉しそうに目を細めた。

「ありがとう。さくらちゃんも風邪引かないようにね。……いってきます」

「は、はい」

 な、なんだろう。何気ないやり取りしかしていないはずなのに、胸いっぱいに甘酸っぱい気持ちが広がるのは。自然と頬が緩んでしまう。

 それは村瀬さんも同じで、目が合うとどちらからともなく笑ってしまった。

「それじゃ、また」

「……はい」

 しばし笑い合った後、今度こそ本当に村瀬さんは私に背を向けた。少しずつ小さくなっていく彼の背中。

 次にこうして後ろ姿を見送れるのは、二ヵ月後……か。

 会えない寂しさから感傷に浸っていると、私たちの様子を見ていた両親が厨房から出てきた。

「よかったじゃない、さくら。二ヵ月後、帰ってきたら一番に会いに来るって言ってもらえて」