するとお腹の中の赤ちゃんも『そうだよ』と言うように、大きくお腹を蹴った。それは誠司さんも感じ、お互いびっくりしてしまう。

「すごいですね、絶妙なタイミングでした」

「あぁ。……俺たちの話を一番近くで聞いていたんだ。パパはママにもっと甘えろって言いたいのかもしれないな」

「そうですよ、絶対に」

 甘えてほしい、誠司さんに。

 腕の力を強めると、彼もお腹を圧迫しないように私を抱きしめた。

「ありがとう、さくら。……さくらと出会えて俺、本当に幸せだよ」

「それは私のほうです」

 誠司さんと出会えて、本当に幸せ。

 お互いのぬくもりをたしかめ合っていると、また赤ちゃんが大きくお腹を蹴ったものだから、ふたりで笑ってしまった。

 彼との出会いは偶然だったかもしれない。でもその偶然が運命だったんだと信じたい。

「さくら……」

 しばし笑い合った後、彼の手が後頭部に回り引き寄せられる。少しして重なり合う唇。

 触れるだけのキスを何度も交わしていく。

 だけどそれだけでは物足りなくなってきて自分からキスをせがむと、誠司さんは自分の膝に私を乗せた。

 大きな手が私の頬を優しく撫でる。艶っぽい表情で見つめられると、胸がぎゅうぎゅうにしめつけられてしまう。

「誠司さん……好きです。……大好き」

 彼への想いが溢れて止まらなくなり、何度も愛の言葉を口にすると、口づけは深く、濃厚なものになる。

 熱く絡まる舌に甘い声が漏れていく。

 息苦しくて呼吸もままならないのに、キスをやめてほしくない。もっと深く求めてほしいと願ってしまう。

 唇がヒリヒリと痛みを感じ始めた頃、誠司さんはキスの合間に囁いた。

「さくら……世界で一番愛している」と――。