極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「行こうか」

「……はい」

 お会計は彼がスムーズに済ませてくれていて、腕を組んで美容院を後にした。

 山浦さんが運転する車で向かった先は、都内でも有名な高級ホテル。スタンダードな部屋でも、一泊何十万円もするとテレビで流れているのを見たことがある。

 初めて訪れた高級ホテルを前に、中に入る前から身体がガチガチに固まってしまう。

 これからもっと煌びやかな世界に向かうというのに、今からこんな調子で大丈夫だろうか。

 不安を抱きながら目の前にそびえ立つホテルを見上げていると、山浦さんと話しをしていた彼が隣に立った。

「つかまって」

「え、あっ……」

 私の手を取ると、誠司さんは自分の腕に絡めた。そして私を安心させるように言う。

「大丈夫、ずっと俺がそばにいる。……さくらはこうして俺の隣でいつも通り笑ってくれていたらいい」

「誠司さん……」

「だからほら、笑って」と言われたら、自然と笑えてしまうから不思議だ。

 それでも完全に緊張が解けたわけではないけれど、隣に彼がいてくれたらなにがあっても大丈夫だと思える。