「さくらが山浦さんに口止めしたのは、きっと俺のことを考えてですよね?」

 彩芽のことは、妹のような存在だと彼女にも話したことがある。そんな彩芽が自分のせいでさくらに嫌がらせをしていたと俺が知ったら、悲しむと思ったんだろう?

 俺の考えは的中していたようで、山浦さんは「はい」と答えた。

「私のほうから早乙女たちにきつく言いましたので、その後は社員食堂に行っていないようですが……。副社長のお話を聞きますと、注意が必要ですね」

「そうですね」

 もしもまた、彩芽がさくらになにかするようなら、いくら妹のように可愛がってきた幼なじみだろうと容赦はしない。

「勝次叔父さんも、おとなしく引き下がるようには見えませんでしたし、彩芽とともに注意して様子を見ましょう」

「わかりました」

 もう二度とさくらにつらい思いはさせない。彼女は俺が守ってみせる。

 そう新たに決意を固め、仕事を再開させた。