「もしかして俺が妊娠していると聞いたら、迷惑だと言うとでも思ったのか? それとも、誰かになにか言われた?」

「ちがっ……! 違います」

 早乙女さんのことを言うつもりはない。彼女に言われた言葉に怒りを覚えたしショックだったけれど、彼を想う気持ちがわかるから。

「結婚する前に妊娠しちゃったら、村瀬さんの仕事に悪影響が出るんじゃないかと思って……」

 それは今も思っている。早乙女さんの言っていたように、私のせいで迷惑をかけることにならないだろうか。

 不安に思っていると、村瀬さんはすぐに答えてくれた。

「そんなことあるわけないだろ? むしろいい影響が出るよ。生まれてくる子供のためにも、ますます頑張らないと」

 そう言うと彼は再び私を抱き寄せた。

「ごめんな、病院に付き添うことができなくて。……ひとりで行かせてごめん」

「いいえ、病院には光美が付き添ってくれたんです」

「そうか。じゃああとで礼を言わないとな。……でも、妊娠しているかもしれないって思った時、不安に思っただろ? そんな時にそばにいられなくて悪かった」

 どこまでも優しい彼に、好きって気持ちが大きく膨らんでいく。