極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

 私も早く村瀬さんに会いたい。抱きしめてほしい。……でも、そうしたいと言ってくれるのも、こうして優しい言葉をかけてくれるのも、まだ彼は私の妊娠を知らないからでは? と思ってしまう。

 声を押し殺すのに必死でなにも言えずにいると、クスクスと笑う彼の声が耳に木霊する。

『聞いてるのか? さくら。……もしかしてさくらは俺に会いたくない?』

「そんなっ……! そんなことありません。……私も会いたいです」

 涙を抑えて放った言葉は、少し震えてしまった。それに気づいた彼がすぐに聞いてくる。

『なにかあったのか? 声がいつもと違う』

「いいえ、なにも……」

『本当に?』

 疑いめいた声でもう一度聞かれ、心が揺れる。

 話してしまったほうがいいのだろうか。いずれは伝えなくてはいけないこと。……でも、喜んでくれなかったら? 迷惑だと思われたらどうする?

 想像しただけで怖くなり、必死に誤魔化した。

「本当になにもありません。……ちょっと風邪気味で」

 苦し紛れに出た嘘に、村瀬さんは心配そうに言う。

『え、大丈夫か? 熱は? 病院には行った?』

「大丈夫です、ただ喉が痛いだけなので」

『そうか。……でも安静にすること。無理はしないようにな』

「……はい」