極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「もしもし」

『さくら? ごめん、今大丈夫?』

 聞こえてきたのは、変わらない彼の優しい声。それを聞いただけで涙が溢れそうになり、慌てて答えた。

「はい、大丈夫です。ちょうど家に帰ってきたところなので」

 いつも通りを心がけて答えると、続けて「なにかあったんですか?」と問う。

 日本を発ってから、村瀬さんが平日に電話をかけてくるのは初めてだ。私を気遣ってか電話は休日のみで、仕事がある日はメッセージでやり取りをしているから。

 もしかして、早乙女さんが村瀬さんに妊娠のことを話したのだろうか?

 そんな不安を抱いていると、村瀬さんは言いにくそうに言った。

『ごめん、用があるわけじゃないんだ。……ただ、ふとさくらの声が聞きたくなっただけ』

「えっ?」

 私の声が聞きたくなっただけ?

『仕事で山場を越えたところでさ。疲労困憊だったんだけど、こうしてさくらの声を聞けたら元気が出るよ』

 村瀬さん……。

 だめだ、涙を抑える術がなく、次々と零れ落ちていく。

『予定より早く帰れると思う。……そうしたら真っ先にさくらに会いに行くから。思いっきり抱きしめさせてくれ』