極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

 だけど次の日、早乙女さんたちが社員食堂を訪れることはなかった。現場を見ていた社員から噂はあっという間に広まり、秘書課のモラルを問う声もあったと弥生さんたちが昼休みに話しているのを聞いた。

 それだけ噂が広まるということは、いずれ村瀬さんの耳に入るかもしれない。そうならないことを祈るばかりだった。



 木曜日。この日は半休をもらい、朝一で市役所を訪れていた。

 こども保健福祉課で病院から出された、妊娠届出書を提出。母子手帳とともに妊婦健康診査や、妊婦歯科健康診査などの受診票で公費負担チケットが交付された。

 そしてもうひとつもらえたのは、普段の生活の中でよく目にしていたバッグなどに付けて妊婦だということを知らせる、マタニティマークのバッジ。

「お腹が目立つようになるまでは、妊婦だと気づかれないことが多いと思います。しかし、安定期に入るまでの今が一番身体を大切にしなければいけない時期です。ぜひ今から付けてください」

 そう言われ、もらったばかりのバッジをバッグに付けると、よりいっそうお腹の中に赤ちゃんがいるんだと実感させられる。

「ありがとうございました」

 担当者にお礼を言い、交付された母子手帳などが入った封筒を手に保健福祉課を後にした。