極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

 山浦さんは村瀬さんが入社した当初から、ずっと彼の秘書についていると聞いている。

 そんな人から彼をよろしくお願いしますと言われたら、ジンとしてしまう。

 丁寧に一礼すると「私もしっかり完食していきます」と言い、山浦さんは席に戻っていった。

 心の中でもう一度山浦さんに、「本当にありがとうございました」と唱えて私も再び業務に戻る。

 厨房では弥生さんたちが、「すっきりしたねー」「これで日々のストレスがなくなるよ」「さすが副社長の秘書様だ」なんて声が聞こえてきた。

 すぐに「勤務中ですよ」と注意すると、みんな返事をしながらそそくさと持ち場に戻る。

 だけど私も安心した。……きっともう早乙女さんが嫌がらせしてくることはないよね。

 その思いで彼女のほうを見ると目が合う。その瞬間、睨まれてしまった。

「まぁ! あの子ったらまた……! どれ、もう一度私が言ってやろうじゃないの」

 それを見ていた弥生さんが厨房から出ていこうとするから、慌てて引き留める。

「弥生さん、落ち着いてください。ほら、彼女ただ目が悪いだけかもしれませんし」

 なんて言いながら、心は大きく揺れている。本当に安心してもいいんだよね?

 一抹の不安は拭えずにいた。