極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

 必死に宥めるものの、弥生さんの怒りは収まらないようで、早乙女さんに鋭い眼差しを向けた。

「あなたがまずいって言う料理の食材の経費はねぇ、半分は会社が負担してくれているんだよ? それを毎回残して……。廃棄ロスにご協力くださいっていう、あの張り紙も読めないのかい?」

 バカにしたように言いながら、弥生さんは食堂内に貼ってあるポスターを指差した。

「こっちが言いたいね! 子供でもわかるようなことを理解できない秘書がいる秘書課の責任者は誰!?って」

 啖呵を切った弥生さんに、早乙女さんは怒りで身体を震わせている。

 弥生さんの気持ちは嬉しいけれど、非常にまずい状況だ。食事をしていた社員たちも、何事かといった目で見ている。これではあっという間にあることないこと変な尾ひれがついて、噂が流れてしまいそう。

 とにかく謝って、早乙女さんに怒りを鎮めてもらおうとした時――。

「申し訳ありません。うちの秘書課の者の不行儀なる言動、秘書課の責任者として謝罪いたします」

 突如聞こえてきた男性の声。

 誰もが声のしたほうへ目を向けると、他の社員に交じって食事をしていた山浦さんが立ち上がった。

「え……山浦さん? どうしてここに……」

 急に狼狽え出す早乙女さん。そんな彼女の元へ山浦さんは真っ直ぐ向かってくる。