極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

 いいんだ、思い出はしっかり目に焼きつけて記憶に残すから。

 そう自分に言い聞かせて、あまり人のいない場所へ移動した。

「うわぁ、きれい……」

 人が少ない場所にきて、改めて夜景に目を向けると思わず声が漏れる。

 家から意外と近い場所にあるのに、こうして訪れたのは初めて。……それにこんなに楽しくて、幸せなデートをしたのも初めてだ。

 それなりに恋愛をしてきたし、デートだってした。でも、相手が村瀬さんってだけで、初めてデートした時以上に緊張してドキドキして、最初は今日一日自分の心臓が持つか心配だったよね。

 でもそんな心配は皆無だった。本当に楽しかったな。

 夜景を眺めながら、一日を思い出していると、急に横から差し出されたのは花束。

「えっ?」

 びっくりして隣を見ると、小さな花束を手にした村瀬さんが立っていた。

「さくらちゃん、これ」

「え……いつの間に……?」

 戸惑いながらも受け取った花束は、赤に黄色にピンク、そして白の四本のバラの花束だった。

 村瀬さんからバラを貰えるなんて嬉しいけれど……いつ、買いにいったのだろうか。ずっと車に積んでいたわけではないだろうし。それに一輪はよく目にするけれど、なぜ四本の花束なのだろう。

 花束を見つめたまま考え込んでいると、村瀬さんは一歩私との距離を縮めた。