極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

 きっと、村瀬さんとふたりでこのお店を訪れることはもうない。それは村瀬さんもわかっているはず。だけど彼は笑顔で殿山さんに言った。

「あぁ、また来るよ。……さくらちゃんとふたりで」

 その言葉に彼を見ると目が合う。すると優しく微笑まれ、ギュッと胸が締めつけられる。

 村瀬さんはどんな思いでいるのだろうか。私はただただ、胸が痛いよ。

「それじゃさくらちゃん、行こうか」

「……はい」

 殿山さんに見送られて私たちは店を後にし、来た道を戻っていく。

 駐車場に戻ったら車に乗って、彼は私を家まで送り届けてくれるはず。いつ、どのタイミングで想いを打ち明けようか。

 車から降りるところ? そのほうがいいかな。振られて泣きそうになっても、すぐにさよならすることができるし。

 そんなことを考えている間に駐車場に着き、支払いを済ませた村瀬さんとともに車に乗り込む。

「さくらちゃん、まだ時間大丈夫?」

 てっきり家に向かうと思っていたから、拍子抜けしてしまう。

「もしかして、このあと用事ある?」

「あ、いいえ! 大丈夫です!」

 すぐに答えると村瀬さんはホッとし、「もう一ヵ所、さくらちゃんと行きたいところがあるんだ」と言うと、車を走らせた。