3月生まれの恋人〜Birthday present〜

『え?』



重い?嫌になった?

考えてもみなかったゆづの台詞に
俺の頭の中は大混乱



『嫌になったって、ゆづ?
何で、俺がゆづの事嫌になんなきゃならないわけ?』


てか、むしろウザイとかヘタレだとか
俺が嫌がられてるってのなら解るけど
反対に限っては全くもってあり得ないだろ?


俺の胸で不安げな表情を見せるゆづ

いったいどこですれ違ってしまったのか、見当すらつかないんだけど


真剣に首を傾げる俺に
ゆづは、ふうっと小さくため息を落とすと



『ごめんね、あたしの考えすぎだったのかな…』



と呟いた



俺の腕にすっぽりとおさまったまま、ゆづは弱々しく笑う

幼稚園で見せる特上の笑顔に一目惚れした俺

今日のゆづの笑顔は見ていて心が痛くなる



『愛されすぎててごめんなさいならともかく

俺がゆづを嫌になるなんてあり得ないから…』



落ち着かせるようにゆっくりとゆづの背中をさすると

目の際に溜まった透明な涙のが、真っ直ぐに頬を伝った

泣かせるつもりなんてこれっぽっちもなかったのに


どうしてこんな事に?
と考えてようやく一つ、心当たりがある事に気がついた



『まさか……』



バレンタインデーの俺の一言が……原因だったりしないのか?


考えれば考えるほど
それ以外にあり得ないんじゃないかと

確信めいたものさえ湧いてくる

冗談半分に口にして、自分だけ勝手に悩んでるつもりだったけど

もしかして、俺以上に悩ませてしまった?



『ごめんっ!本っ当にごめん!』



がしりと肩をつかんでその細い肩を揺さぶると

驚いたゆづが目を丸くした



『全然焦ってるわけじゃないから!

頼むからそんなこと気にしないで』



『本当ごめん…!』



何度も何度も詫びの言葉をかけて、腕の中のゆづを覗き込む

ゆっくりと俺を見上げるゆづの瞳は園児以上にキラッキラで


重い……なんてわけ絶対ないし!!


むしろ22年、大事にしててくれてありがとう!だろ。