最寄りの電車の駅まで歩いた。バスは…待ちそうだったし、さっき乗った駅まで戻るわけではないから、20分も歩けば着くし。
家に着くと、もう9時をあっという間に過ぎていた。
「ただいまー!」
ウキウキでリビングに行く。
「おかえりー。ねえ、どうだった?」
「いきなり聞くの?」
「大事じゃん、初デート!」
「デ…デート」
「でもまあ、貴哉の様子見てりゃ、ちゃんと楽しんできたんだなーとは思う」
「楽しかったよ!!」
「そんな、おやつちらつかせた時の子犬みたいな顔しなくても」
俺がそんなに可愛い顔してたのか知らないけど。
「進展した?」
「んー、それは無いんじゃないかな…より一層、好きにさせられただけ…」
「とっても良い子なのね」
「…あぁ、だけど。俺は、男友達の中でもちょっと特別っぽい!それが分かっただけでも、良かった!あのね…!」
と、ゆっくり話し出しそうになったけれど、不意に目に入った時計を見て、お風呂入んないと…という謎に活動した理性により、口を噤んだ。
「どうしたの?」
「お風呂…入ってからにしときます」
「…長くなりそうと?」
「いくらでも喋れます故…」
「何じゃそりゃ!ゆっくり入っておいで」
俺は微笑みながら頷いて、お風呂場に直行することになりましたとさ。