翌日。昼休み後は日本史Bなのだけど…。
待って、また一緒なのっ?
昨日の女の子がいる。自分より前に座っているから、相変わらず後ろ姿しか分からないけど。
昨日の記憶が鮮明に蘇る。
彼女も俺と同じように、なんちゃって制服で登校してるらしく、昨日と同じスカートに、昨日と違うベストを着ている。
それですぐに分かったというわけじゃなく、確実に…一目惚れしたあの髪で。
何で…こんなに夢中になってるんだろう?
髪が綺麗、としか情報が無いのに。
まずは、声をかけてみよう。
え、でもどうやって?
うぅ…話題が見つからない。
さあっ!俺の脳、頑張るんだ!
頑張って、頭をフル回転させるんだっ!
髪…綺麗だね?
ばばば、馬鹿っ!
俺の馬鹿ぁぁ!
そんな、チャラーい男子大学生のナンパ文句しか思い付かないのか俺は!
日本史、難しかったね。B取ってるってことは、やっぱ得意なの?
何この、下心あります感丸出しな感じ!
俺こんなに頭使えない?ねえっ!
授業が終わり、俺は即座に教科書類をリュックにしまい込んだ。
彼女に話しかける…。
100分間の授業を棒に振ってまで話すテーマを考えたのに、未だ何も思い付いてない。
1つ分かったのは、彼女のことを考えると、もう頭が機能しないってこと。
それだけ。以上!!
あ、教室から出ようとしてる!
今だ今だ!俺、今だよ!
「あっ…」
「たーかや!」
「とぅあーっ!」
変な声で反応してしまう。
教室に残っていた生徒の大半の視線が俺に集まる。
「ど…どうしたんだよ貴哉」
「あ、いや…。聖也が来てビックリした…」
「次の国語総合、一緒だろ?で、迎えに来たんだよ」
「ああ…そうですか…」
「何でちょっと残念そうなんだよ」
聖也はそう言って軽くムッとした。
…ごめん。