「あ…飛鳥ちゃん!」

「ん?」

「夏休み、2人でどっか出かけない…?」


早くも7月になる。俺だけじゃなく、周りも夏休みという響きにウキウキしている。

日本史前の休み時間にそんなことを聞いてみた。


「ああ…そういや今までなかったね。放課後とか休みの日にどっか出かけるとか」

「うん!…だから、誘ってみた」

「どこ行きたい?」


飛鳥ちゃんはワクワクしたような表情を見せてきた。無邪気で、散歩連れて行ってくれるんだよね?って期待してる子犬みたい。


「飛鳥ちゃんは?」

「私の行きたい所?涼しい所がいいなー」

「夏、だもんねぇ…」

「暑いと私、溶けちゃうからねぇ…」

「え、ダメだよー!」

「だから、どこがいいかなーって考えてみる」


飛鳥ちゃんは結構乗り気になってくれてるらしい。嬉しい!

…うん、まあ、佐倉くんと出かけるのと変わらない感覚なんだろうな。…佐倉くん以外にもいるのかな、あんな風に仲の良い男友達。

それはそうと…。
俺にとっては、好きな子とデート。


「貴哉くん動物好き?」

「うん、好きだよ」


…なんかまるで、飛鳥ちゃんに告白したみたいになっちゃったな。ははは。


「猫カフェ行きたいんだよねー。翔がアレルギーあって行けないから、一緒に行く人いなくて」

「飼ってないの?…あ。アレルギーだからか」

「それより、うちマンションだから飼えないっていう根本的理由…」


ああ、そういうこと…。


「んー、だけど夏に猫かー。猫は冬の方が良いな、冬休みに行こっか」


冬休みのデートまで決まった…。さり気ないよ、凄いよ飛鳥ちゃん…。