君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。



手元の携帯が振動する。

え!いつもはサイレントにしてるのに!家出る前に設定ミスしたんだな…。

画面に表示されてる名前は翔だった。
珍しいな、翔が電話なんて。


「もしもし。何?」

『お、電話出てくれた』

「うん、出た」


エントランスに着いたが、とりあえず立ち止まって電話を続ける。
電話口からは外にいるであろう音がする。


『さて、俺は今どこにいるでしょう!』

「外」

『うわ、つまんね。もっとなんかあるだろー』

「知らんし。どこ?」

『ううっ…。飛鳥の学校近くのコンビニ。バイクで出かけようと思って、何となく来てみた』

「何となくで、妹の高校近くに来たの?なかなかの変態だね。ド変態」

『うわー、そこまで言うか。せっかく2ケツで帰ってやろうかと思ったのにー』

「分かりましたお兄たま、送って下さい」

『分かりやすっ!つか何だよ、お兄たまって』


我ながら何言ってんだろ。


「高校の前で待ってればいい?」

『ああ…いや、コンビニ来てくんない?高校の前でバイク停めて色々やんのはちょっとな…』

「あー、了解。どこのコンビニ?」

『学校出て左。そのまま道なりにまっすぐ来たらすぐ分かると思う』

「おっけ、すぐ行く」


電話を切り、私は早速そのコンビニの方へ。