「私が髪染めるのは、翔的に反対?」
「ド派手なカラーは、純粋な妹像崩れるから嫌だ。そもそも好きじゃないってのもあるけど」
「純粋な妹?え、何それ美味しいの?」
そう返すと、1回黙れ、とばかりに微笑まれた。
「てかまず、矯正してんだったら、色入りにくいだろうよ」
「ん、まあそうなんだけど。別にハイトーンやりたいわけじゃないからね」
「高校生のおこちゃまには、まだブリーチする勇気は無いんだな?」
「…翔、あったっけ?」
「インディーズバンドにのめり込んでた去年の夏くらいに、ボーカルがハイトーンのミルクティブラウンやってて、そこでブリーチしたな」
「んあー、あれブリーチしてたんだ」
「頭皮を、冷めない熱湯にずーっと突っ込んでるみたいな痛さだった」
「あらま、ざまっ…」
「最後まで言おうぜー?」
「あでで…」
翔に頭をグリグリされる。
「で、飛鳥は染めたいの?」
「んー、別にそのつもりは無いけど」
「…何で聞いたんだよ」
「何となくっ!」



