「じゃあさ、仮に彼氏がいるとして、貴哉はすぐ諦めるの?」

「諦めない。…いや、諦められない」

「そんなに即答なら、もうとっくに答え出てるじゃない。俺が奪ってやる!くらいでいればいいの!」

「俺が奪ってやる、か…。そんな男気あること言うと思わなかった」

「へへっ…。私だって、人生のうちに息子に恋愛相談受けるなんて思ってもみなかったわよ」


俺だって言ってから思ったんだから…。

でも…スッキリした。奪ってやる精神で行こう!


登校する準備が終わって。


「じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」


久しぶりだなー。
“行ってきます”に、“行ってらっしゃい”が返ってくるなんて。


そういや今日は、朝から飛鳥ちゃんと同じ授業だ。
避けられませんように…!

ん、でもあの子、そういうタイプではなさそうだな。それに賭ける!

地学室に着くと、飛鳥ちゃんはもう来ている。そりゃそうだよな…俺、今日はちょっと遅かったからなー。


「おはよー、飛鳥ちゃん」

「んー、おはよう」


声をかけると、俺に微笑みかけて返してくれる。
あ、いつも通りだ。


「どうしたの?ニコニコしちゃって」

「ううん、何でもない!」


俺はもう、何があっても

飛鳥ちゃんのことを好きでいる。