ぼんやりしてる場合じゃなかった…。
支度をしてダイニングに行くと、母さんは朝ご飯を用意してくれてた。
「朝ご飯まで作ってくれたの?ありがと」
「…んー、そこまで感謝されるのは複雑だな」
「何で」
「母親らしいこと何もしてあげられてないんだなーって、少し感じるから」
「そう…」
確かに、専業主婦だったり、パート勤務で朝は家事してるような母親だったら、今母さんがやってるようなことに毎朝ありがとうなんて言わないだろう。
「てかさ」
母さんが俺の目を見つめてきた。
「…え、何?」
「元気無いね」
「へ…」
「いくら生活サイクルが違って顔合わせる回数が少ないからって、大事な息子のちょっとした異変を気付かないわけないでしょ」
「あぁ…」
俺が元気無いんだとしたら、大部分は飛鳥ちゃんだろうな。彼氏じゃない、そう分かってるのにモヤモヤしてるから。
朝ご飯を頬張りながら、少し話してみることにした。
「…初めてできた好きな女の子に、彼氏がいるかもしれないってなって。
結局友達だったから、その人は違ったんだけど、彼氏がいないとは言わなかったから、なんとなくモヤモヤしてて。
逆に言えば、彼氏いるよとも言われてないんだけどね?」
母さんは少し驚いたような顔をした。普通、男子高校生は母親に恋愛相談なんかしないよなぁ…。