2人で何となく立ち上がり、空気で“帰ります”を感じた。


「もう暗いから、家まで送るね」

「えー、いいのに。過保護だなぁ」

「俺ともっと一緒にいたいって、思ってくれない?」

「それは…まあ…」


もう一押しかっ!


「俺は、飛鳥ちゃんともっと一緒にいたいなー」

「んんっ…」


飛鳥ちゃん、照れた!


「ずるい…」


そう呟いて俯きながら、俺の服の裾をキュッと握ってくる。

何だろう、ここまで来たらもうちょっと意地悪したくなる。


「もっかいキスする?」

「何でそうなるの!」

「じゃあハグする?」


照れてるのを必死に隠してるのか、裾を握る手が強まった気がする。

…うん、シワになりそう。
まあいいけど。いいんかいっ!


「飛鳥ちゃんが選んでいいよ。どっちがいい?」

「え…?」

「したい方、飛鳥ちゃんからしてみてよ」

「はっ!?」


俺はそっと、裾を握る手を取る。

で、腕を広げてジーッと見つめる。


「おいで?」


飛鳥ちゃんは、こちらを赤い顔で見上げて固まるしかないようだ。


「お、い、で?ねえ、何かしてくれないと、俺帰さないよ?」

「帰さなくていいよ、って言ったら?」

「おお…そう来るか」


ちょっと想定外な返しだったけど。