ー貴哉sideーー
「初めてなのに、2回もしちゃったね」
…可愛すぎ。
何が初めて、とか言わないから、変な解釈したくなるでしょ!
俺の理性どうしたいの?ホントに…。
また、触りたくなる。だけど。
最初から触り過ぎるのは、警戒させそう。
「飛鳥ちゃんからしてくるとは思わなかったな」
「そこは触れないお約束!」
そう言ってニコッとして、また漫画に目を向けた。
まあ…そうだね、読みますか。
…そんなあっさり切り替わる?えー…。
飛鳥ちゃんは時々立ち上がってストレッチしながら、黙々と読み進めていた。
最終巻の18巻目を読み終わる頃には、外は暗くなってきた。もうすぐ12月になるもんね…。
「読み終わったー!話題になるだけあるね。夢中になって読んじゃった」
「楽しんでもらえて良かったです」
「貸してくださり、ありがとうございます」
俺に関しては半ば、集中できてなかったけど。
「夜ご飯はどうする?食べてくなら、伝えてくるよ」
「んーん、初めてお母さんと会ったの今日なのに、夕食まではご馳走にならないよー」
初めて飛鳥ちゃんの家に行って、何の躊躇もなく夕食ご馳走になった俺って…?
「俺は初めてでもご馳走になったけどね」
「え?…ああ、遊びに来た時か。いや、だってあれは貴哉くんも手伝ってくれたじゃん」
「そうかもだけど」
「貴哉くんママだっていくらフレンドリーとはいえ、初めて来た息子の彼女にキッチン入られたくないでしょ」
「そうかなぁ…」
そういう所まで気遣えるの、好きだなぁ。
とりあえず頭を撫でてみた。
「可愛い、好き」
「何、突然…」
照れるというよりは、疑問の表情だけど。



