家の前まで着いて、インターホンを押す前に深呼吸。…そんな、緊張することもないのか?
こんなん、私らしくないぞっ?
「こんな所で何してんの」
少し離れた場所から、貴哉くんの声が聞こえた。
声がした方に目を向ける。
「あっ、貴っ…?」
ん?んんー?
貴哉くん、か…?
戸惑っていると、どんどん貴哉くん(?)が近寄ってくる。
「うちの前で何してんの。うちに何か用?」
「へ…?いや、貴哉くん…?」
「お前、貴哉の何なの?ストーカー?」
やたら不機嫌な貴哉くん(?)だけど…。
服装は佐倉寄りだし、よく見たら貴哉くんより若干背高い気がするし。
「お兄さん…?」
確か、9歳上の兄がいるって言ってたよね。
「貴哉くんの彼女で…」
ほぼ貴哉くんの顔で、そんな不機嫌な顔しないでください!色んな意味で怖いって!
「新手のストーカーか何か?
貴哉が彼女いるとか、聞いたことねーんだけど」
「そんなこと言われても…」
軽く揉めてると、ドアがガチャッと開く。
「何の音…?あ、飛鳥ちゃん!と…え、何でお兄ちゃんいるの?」
「…母さんに、暇なら帰ってきてって言われたから」
本物登場した!
神々しいよ…!
「で、彼女なの?」
「うん。彼女できたんだ」
そう言って、貴哉くんに腕を引かれる。
「妹尾飛鳥ちゃん」
「よ、よろしくお願いします」
私も軽くお辞儀をする。
「…さっきはごめんな。変な疑いかけちゃって。こちらこそよろしく」
相変わらず、そんなに愛想はないものの、誤解が解けて良かったー!
「名前聞いてもいいですか?」
「真哉。真実の真に、貴哉と同じ哉」
「真哉さん!へえ…兄弟で、名前似てるんだ…」
そう呟くと、貴哉くんは首を傾げてきた。
「翔さんと飛鳥ちゃんだって、近からず遠からずじゃない?」
「そうかな」
「翔って、何となく空っぽいし。飛鳥って、飛ぶ鳥なわけだし、空っぽい」
「そういう意図だったのかな、今度聞いてみよ」
もしそうなら、ちょっとオシャレだけどね。



