「話が読めない、ついていけない、何?」
「ああ…俺が説明する」
そう言い、佐倉が説明しだす。
何故か貴哉くんにバックハグされたまま。
話を聞いていると、たまたま貴哉くんが近くにいる時に、佐倉と金澤くんが好きなアニメについて話していたと。
それで、彼氏ができたばかりの主人公の女の子を、幼馴染の男の子に寝取られるシーンがあって、それについてちょっと話していた、というだけらしい。
「叩くって何だろうって…そういうこと…」
「ああいうシーンあると、ファンの掲示板荒れることあるから。どっちが荒らされるかね、って話」
「ああ…」
貴哉くんの、やってしまったぁ…みたいな、少し落ち込んだ声が聞こえる。
「心配して焦るより先に、妹尾のこと信じる方が先なんじゃねーの」
「そうだよー。妹尾ちゃん、たかやんのこと待ってたんだよー? 帰る方向一緒じゃないのに、なんか会いたいからって」
言っちゃうんかい。
まあ、いいけどさ。
「そうだったんだ…。ごめんね、飛鳥ちゃん。
そうだよね、そんな軽率な行動するわけないのにね」
「う、うん…」
貴哉くんは、やっと私から離れる。
私の前に立って、見つめてきた。
「ぎゅーしていい?ごめんねの印」
あ、天使が降臨した。
「佐倉、仲直りのハグしたいってさ。
いいよ、彼女からの許可を下ろしてしんぜよう」
「絶対俺じゃねえだろ…」
そうだね、絶対私だ。
「今は却下」
「えー。佐倉くんとはいいよって言ったのに」
「それは、私が眼福だから」
「妹尾ちゃんの謎理論」
いや、言わずもがな眼福やん!
「飛鳥ちゃん、駅まで一緒に帰ろ」
「え?いや…逆方向…」
「俺のこと待っててくれたんでしょ?だから、駅まで!…なんか、佐倉くんと2人にしたくないし」
「主な理由後者だろ」
貴哉くんはわざとらしく舌をペロッと出して、ウインクする。
うん、わざとらしかろうが、可愛いもんは可愛いわ。



