次の授業は英文法だ。
教室に着くと佐倉がいる。
古典Bもそうだったけど、出席番号順だから前後になりがち。
「ねえ、本日2回目の佐倉さんなんですけど。
私と授業パクリ過ぎじゃない?真似しちゃダメですよー?」
「知らん」
安定の塩対応。
まあ、クラスが一緒な上に私と同じく文系だから、授業の組み方が似たようになるのはおかしくないんだけども。
「てか、火曜以外は何かしらで授業一緒だろ。水曜も2回会うし」
「そうだねー。…あ、確かにそうだ」
水曜も古典Bとコミュ英Ⅱ、木曜は保健βとHR、金曜はコミュ英Ⅱが一緒だ。古典Bもコミュ英Ⅱも週2の授業だから、必然的にかぶるんだよね。
「佐倉くん、はろー」
「ああ…金澤」
「妹尾ちゃんも!はろー」
「はろー」
教室に入って早々、緩く声をかけてきたのは、同級生の金澤 湊(かなざわ みなと)くん。
2部の生徒ではあるものの、佐倉や私と授業が被っていて、火曜以外は毎日何かしらで会う。そのため、3人でいることは多いかもしれない。
その中でも佐倉と金澤くんは、好きなアニメやゲームが一緒らしく、2人は特によくいる。
掴み所が無くてフワフワした雰囲気だけど、かなり頭が良く、同級生の中では学力トップの秀才。
テスト前になると、佐倉と私の2人相手にミニ授業をしてくれる。
ただ、こちらの文系脳2人と、金澤くんの理系脳では、構造がだいぶ違うらしく、とにかくレベルが高い…。
あまりに頭が良過ぎて、ここまで来るともはや尊敬の域。
普段なら男友達は苗字を呼び捨てだけど、彼だけは未だに“金澤くん”呼びだ。



