ー貴哉sideーー


飛鳥ちゃんとのお揃いグッズも買えたし、
デートできたし…。

あっ、手が繋げた!

自然だったかなー…。
寒かったよね?なんて言って、握ったわけだけど。

…あ、飛鳥ちゃん、めっちゃ照れてたか。

電車乗ってるのに、表情筋やばい。綻んじゃう。


家に着いて、お風呂を沸かす。
出る前に洗っておいたからね。

それからのんびり入浴して、気付けば6時前。
ソファで寝っ転がっていると、


「ただいまー」


と、母さんが帰ってくる。


「あー、おかえりー」


起き上がってそう返すと、ん?と首を傾げられた。


「今日、出かけてたんじゃないの?」

「うん、飛鳥ちゃんと出かけてたよ」

「デートかー、いいなー」


…そういや、まだ家族には言ってなかったな。

だから、今のはいつものノリみたいな感じ。


「えっとですね…」

「何?改まって正座なんかしちゃって」

「飛鳥ちゃんのことなんですが…」

「うん」

「お付き合いすることになりました!」


数秒の沈黙の後…


「おめでとう!今度連れてきてよ。絶対可愛いじゃん、会ってみたい」

「うん、紹介するね」


じゃあそのうち、日曜日かな…。


「それで、スマホケースが変わってますが?」

「えへへー、お揃いっ」

「その辺の男子高校生、母親相手にそんなトロットロの笑顔見せません」

「えー、嬉しいからしょうがない!」


母さんは軽く苦笑いしながら、買ってきた食材を冷蔵庫に入れ始めた。


「あ、お風呂沸いてるよ」

「何、もうお風呂入ったの?」

「え?うん、そうだけど…」

「そんな早く帰ってきちゃって…」

「ちょっと名残惜しいくらいでバイバイした方が良いって言うじゃん。
あと、帰り道は彼氏との1日を1番思い出せる時間だから、あえて送らないのも好きを強めるって言うし」

「どんだけ万全に調べてんの」

「飛鳥ちゃんに、俺のこといっぱい好きになってもらいたいの!」

「まあ…ほどほどにね?」


何となく気付いてたけど…俺、重い?