ー飛鳥sideーー


授業が始まる10分前。貴哉くんが座っている席の人が来たため、自分の席に行った。


日本史Bが終わる。


「じゃあ、またね」

「うん、また連絡する」


そう返ってきたが、ふと思った。


「先週の金曜にLINE交換したのに、1回も来てないよ?」


そう言うと、彼は目を数回パチパチさせてから、少し恥ずかしそうに目を伏せた。


「何送ろうかなーって思って、けどこれ送っても飛鳥ちゃん困るだけだよなーとか考えてたら、いつの間にか土日終わってた」

「え、何その無駄な休日過ごしちゃった感。
何送ってもらっても、貴哉くんから来たら何でも嬉しい」


そう言うと、目をこちらにまっすぐ向けてきた。


「…それ、真に受けちゃうよ?」

「真に受けてよ」


面白いことを言うんだな。


「じゃあ、飛鳥ちゃんにこれ話したい!とか、これ面白かった!とか、そういうの送る!」

「そっか、分かった」


貴哉くんの楽しげな反応に、私の表情も緩む。

2人でニコニコしていたが、ふと彼は時計に目を向けた。


「飛鳥ちゃん、次の授業に遅刻しちゃわない?」


とか言い出した。


「それ言ったら、貴哉くんも遅刻しない?」

「あっ…。そうだね」


貴哉くん、ド天然炸裂…。


「じゃ、また明日ね」

「うん、お疲れ様!」


貴哉くんに軽く手を振って教室を後にした。