ー貴哉sideーー
楽しみにしてた昼休みー!教室の階が違うから移動に時間かかっちゃうな。飛鳥ちゃん、待たせちゃうな。
この高校、地下1階から地上7階まであって、凄い大きいのはいいんだけど、それが只今裏目に出ております…。
待ち合わせの教室に着くと、飛鳥ちゃんが自分の席に着いて音楽を聴いていた。若干リズムに乗っていて、完全に気抜いてるなーって感じ。
それも可愛い。
全然気付いてないな。驚かせちゃおう!
俺は後ろからそっと近付いて、両肩に手をやる。
「わっっ!!」
「んっ」
彼女はイヤホンを外してこちらに振り向いた。
「え、ねえ待って、反応薄過ぎだって。いるの気付いてた?」
「気付いてなかったけど、外でそういうことされても、なんか昔から動じないんだよね。
絶対、ドッキリとかされてもつまんない反応しかできないから、確実にスタッフ泣かせ」
「何じゃそりゃ!…え、家では動じるの?」
「家に限らず、気抜いてたら。…あのー、胡瓜にビックリして飛び跳ねる猫並に」
あー、そんな動画が一時期流行ったなぁ。
思い出してくすりと笑う。
「まあ…貴哉くんも座りなよ。ここの生徒大抵ギリで来るから、自分の席じゃなくても大丈夫だよ」
「そっかー、じゃあそうする」
自分は余裕を持って行動する方だから、その感覚は分からないけど。
多分飛鳥ちゃんもそうだな。
俺より早く来てる印象。
そういう所が合うってのも良いね。
その後は本当に他愛ない会話で過ごした。
ただ1つ言えるのは、長い期間一緒にいたわけじゃないのに、そんなの嘘みたいにずーっと喋っていられた。
ああ、飛鳥ちゃんと付き合えたら。
毎日こうなのかな。
きっと友達っていう関係でもこのままの空気だろうけど、飛鳥ちゃんの彼氏になれれば、ハグもキスも、手繋いでデートもできるんだ。
…ねえ。
まだ出会って1週間なのに、こうまで思っちゃうのは、おかしいのかな?



