翌朝、LINEしてみた。


<ご飯、どっかで一緒に食べよ!>


でもすぐには返ってこなかった。
いつもなら、割とすぐ既読つくのに。

あ、そろそろ行かなきゃ!


教室に着いてからLINEを見てみる。


<うん、ベンチがいい>
<あ、マフラーちゃんと用意した!>
<さすがに今日は忘れなかった笑>


あー、マフラーねぇ。

…何か言い方に引っかかる。
気のせいか。

その日の昼。言われた通りベンチに行く。


「あ、いたいた貴哉くん」

「やほー」


1階から来た。
エントランスから直接行き来できる階段から上ってきたから、絶対そうだ。

俺の横に座って、可愛らしい紙袋を差し出してくる。


「はい、これ。紙袋は、いっか。着けて帰るでしょ?」

「うん。可愛い紙袋だから、飛鳥ちゃん大事にしてるだろうし」

「あははっ、確かにこれ可愛い。大事にしよ」

「してなかったんかい」


彼女はヘヘッと笑う。

それからお弁当とかを出すでもなく、足をブラブラさせてつま先を見つめるだけ。


「…お昼ご飯忘れたの?」

「家で食べてきた」

「え?今来たってこと?」

「まあ、うん」


何となくそうかなとは思っていたけれど。


「授業、数IIだったんだけどさ。凜と知愛が一緒だからさ、行きたくなくて」

「それ言ったらこの後の授業だって…」

「まあそうなんだけど。…私のいない所で、あの2人と貴哉くんが一緒なの嫌だなーって」

「ん?」

「あ。…な、何でもない」


今のは…?

飛鳥ちゃんはと言うと、相変わらずつま先を見つめている。

若干、耳が赤いような…?