ー貴哉sideーー


良い感じに誤魔化された気がするけれど。

どことなく弱っているように見える彼女の顔を見ていて、それ以上何も聞けなかった。


それからというものの、飛鳥ちゃんは取り繕うかのように植草さんや仙葉さんと昼休みを過ごすようになった。


「そういや貴哉ー、ずっと俺らといるけど、あの子もういいの?」


飛鳥ちゃんと過ごさなくなった代わりに、俺も俺で聖也と恒輝といることが増えた。

それでか、気になったんだろう。


「飛鳥ちゃんのこと?」

「そう。…え、幻滅したとか?何かされた?」

「んなわけ」

「どんだけ好きなん、ホント」

「優しいし、面白いし、可愛いし。
風邪で倒れた時の甘え方とか、俺の理性死ぬかと思ったんだけど」

「めっちゃ淡々と言ってるけど、なかなかのこと言ってるの分かってる?」


…確かに。俺、何を言ってるんだ。


「で、お前のアタックは、効いてるの?」

「んー、どうだろう。…思わせぶりなんだよね。どっち?って」

「人として好きなだけか、男として好きなのか、よく分からないってこと?」


頷くしかできない。
本当によく分からないから。


「…けど、4月よりかは意識してくれてるかも?」

「まあそうよなー。非の打ち所の無い貴哉だし、女子オトすのなんかそんな難しいもんじゃないだろ」


俺にだって短所くらいあるっての…。