ー貴哉sideーー


翌日、昼休み。

飛鳥ちゃんのための勉強会!ということで。
けど、まずはご飯から、となった。

長机で、俺と飛鳥ちゃんが隣同士で、その前に佐倉くんと金澤くんが座る。
やっぱ、隣に来てくれるのは嬉しい。


「妹尾ちゃん、もう元気だね!」

「んー、さすがに1週間もあれば治るよ」


マスクも外して、完全復活だね。


「けど昨日さー、体育の着替えの後にうっかりカーディガン段違いにしてて」


えっ…。


「俺らと会った時?」

「そう!金澤くんはともかく、佐倉は気付いてくれても良くない?」

「俺に対する謎の期待は何なんだ?」


佐倉くんは、気付いてもあえて言わないで遊ばせそう。…勝手なイメージだけど。


「…僕はともかくなんだ」

「そういうの鈍感そう」

「決めつけは良くないよー」

「…実際気付いてなかったじゃん」

「そうだけどさー」


金澤くんは頬を軽く膨らませる。
そういう顔もするんだ。ちょっと可愛い。

いや、そうじゃなくて。


「いや、あの飛鳥ちゃん?」

「何?」

「昨日俺が気付いて直したわけじゃん。しかも、恥ずかしくないようにって、2人になってから。…話し、ちゃう?」


飛鳥ちゃんはキョトンとする。


「何を今更、そんなんで恥ずかしがるの?って感じだよ、この2人は」

「へっ」


あれっ、そもそもそんなに恥ずかしかったわけじゃない?


「そうそう。段違いくらいなら可愛いもんだろ」

「数学の授業なのに、真面目な顔して英語の教科書出してたり、何も無い所でビターンって思いっきりすっ転んだり、僕ら結構見ちゃってるからね…」

「サラッと暴露やめて?ね?」


時々ドジやらかすんだな、飛鳥ちゃん。

…俺がそんなに気にしてなかっただけで、これまでも小さいドジは目にしてたのかもしれないな。