軽く顔を顰めていると佐倉が急に手を叩く。


「…はいっ、明日の昼休みと放課後は、4人で勉強会」

「病み上がりなんだよ?さすがにハードすぎない?佐倉くん」

「何なら今日やるべきだったのに、明日にしただけ俺優しいと思うけど」


鬼教官、佐倉律…今ここに現る。


「貴哉、明日大丈夫?」

「えっ。ああ、勿論大丈夫です」


貴哉くん…私の方見つめながらぼんやりしてたけど。


「貴哉くん、風邪伝染った?」

「何で?」

「ボーッとしてるから」

「ああっ…。考え事」


珍しいの…。

ふとエレベーターから出てくる人が目に入って、引き止めちゃ悪いな、と思った。


「エレベーター待ってたんだよね、2人とも」

「何回上下したことか」


私が引き止めたんじゃないもん。こればっかりは私悪くない!


「じゃあ、また明日ね。よろしくー!」

「じゃあなー」

「じゃあねー」


と、2人が乗り込むのを見送ってから、階段に向かう。

わざわざエレベーターで行くほど上に行くわけじゃないし。

数歩進んだ所で、


「飛鳥ちゃんっ」


と、急に貴哉くんに手首を掴まれる。


「ん?」


軽く振り向く。

本人は大した力を入れてるわけじゃないんだろうけど、私からしたら強めで、若干引き寄せられるような感じだった。


「ちゃんと、こっち向いて…?」


告、白っ…?