君と紡ぐ物語は、甘くて愛おしい。



「今日はたまたま、その仙葉と植草の近くに俺が座ってて。それで聞こえちゃったというか」

「聞こえたことに関して、俺に言いに来たと」

「まあ、そうなる」


何のことだろう。
皆目検討もつかないけど。


「まず2人がやって来て、飛鳥ちゃんいないねー、とか言って、妹尾の不在に触れる。…まあ、そこまでは良いんだけど」


佐倉くんが言うことを要約すると。

飛鳥ちゃんがいないことを確認した彼女達は、悪口とまではいかないものの、不満を言い出した。

最近、飛鳥ちゃん付き合いめっちゃ悪くない?
うちらとはいないで、男子といること多いよね。
そうそう。それに、3人でいてもそんなに楽しそうってわけじゃなくて、気遣ってる感じ。


「まあ、そういうことだから。
…何て言うか、妹尾に気遣ってやれってわけじゃないけど。
そもそも気遣われるの好きじゃない奴だしな」

「僕が、僕らが、もっと一緒にいれば良いんじゃないですか」


そう返すと、微妙に表情を変えられる。


「そうとも限らないから難しい」

「えっ?」

「俺らといるから、妹尾はああやって裏で言われるんだろ。
だから、何とも言えない」

「ああそうか…確かに」


だとしたら、俺にできることなんて1つしかない。


「あの2人が言っていたことは知ってても、俺は今まで通りに飛鳥ちゃんといますから。
彼女がリラックスできる場所、それに俺がなります」


そう言うと佐倉くんは、優しく微笑んだ。


「貴哉らしいな。安心した。
…じゃあ、まあ、そういうことで。時間取って悪かったな」

「いや、全然!じゃあ、また!」


佐倉くんは軽く手を振り、教室を後にした。

最初から最後まで、カッコイイんだから、ホントにもう。


「貴哉ー、大丈夫だったか?」


廊下にいた聖也と恒輝が教室に入ってくる。


「ん…だから、別にシメられてたわけじゃないってば」

「はいはい!…ま、行きますか」

「うん」