完全にこちらに体重を預けてきている。

立っているのがツラそうだから、ゆっくりと一緒に腰を下ろす。
俺の左腕に背中を預けて、ぐったりしている。

熱があるかもしれない!と思い、額に手を当ててみると、前髪越しでも分かるくらいに熱い。


「ごめん貴哉くん…」

「ううん」

「頭グルグルして、動けない…」

「目眩ってこと?」


彼女は小さく頷いた。

…んー、多分風邪だよね。保健室連れて行くのが妥当だよね。いや、でも動けないって。


「とりあえず保健室で休まない?風邪だと思うからさ」

「動けない…」

「このままが良い?いやぁ…別に構わないけどさ」


好きな女の子に、付き合ってもないのにここまで密着できることないし。
だけど、そんな下心は今は邪魔でしかないな。

飛鳥ちゃんの体調のためには、暖かい布団に入って寝るのが1番だし、健康のプロである保健の先生の元で色々してもらう方が良い。

それなら…俺が運べばいい。


「ねえ、俺が保健室に運ぶから、それならいい?」

「え…」

「余計な振動とか与えないように気を付けるから。
ねっ?ちゃんと休もう?」

「…ありがとう」


今ならちゃんと折れてくれる。

良かった。


…さて、連れて行くにせよ、どうするものか。

寒い割には薄着だよなぁ、飛鳥ちゃん。
まずは体を冷やさないようにするべきだよね。