「どうする?帰る?」


そう問いかけると、ほぼ無表情でこちらをじっと見つめてきた。


「…貴哉くん」

「ん?」


神妙な面持ちでどうしたんだっ?!


「被服室だという可能性があります」

「…普通教室って言ってなかったっけ、先週」

「いや、ハッキリそうとは言ってない」

「そうか…確かに、明言はしてないか」


飛鳥ちゃんは立ち上がって、


「遅刻確定だけど、欠席はまだ付かない!レッツゴー!」


と言い、立つように促してきた。


「よし、行こっか!」


飛鳥ちゃんは元気な笑顔で頷いた。


「欠席付くのって何分後からだっけ」

「授業開始15分後だよ。大丈夫だよ、まだ間に合う」


なんかさっきから、ちょっとした寸劇みたいな喋り方してるのは何?

あ、自分もか。


被服室に着くと、幸い、まだのんびり出欠取ってるくらいだった。
俺ら以外にも普通教室に集まってる人が割といたため、そんなに悪目立ちすることなく入っていけた。

飛鳥ちゃんとは一緒のテーブルに座って、授業を受け始める。

あー、俺としたことが!
飛鳥ちゃんより早く、開始時刻より早く気付いていれば、飛鳥ちゃんに遅刻させずに済んだのに!

俺もだけどさ!入学半年にして、初の遅刻つけちゃった。